メーター(メートル)モジュール


以前、メーターモジュールについての質問を受けたことがあります。簡単に言えば
『メーターモジュールの利点と欠点について教えて下さい。』
と、いうものでした。メーターモジュールの利点は簡単です。これは皆さんもご想像がつくように

メーターモジュールの利点


@ 廊下が広い

A 階段が広い
B 洗面所・風呂が広い
C トイレが広い
D 住宅性能評価制度の『高齢者への配慮』5等級(最高等級)が取りやすい。

と、居室以外の部分の幅が広くなります。これはかつて積水ハウスさんなどがTVのCMなどでやっていた(廊下の手すりにケーキが刺さったり、トイレの手すりにぶつかってトイレの壁が壊れるというコメディの様なCM)ので覚えてる方もいらっしゃるかもしれませんが手摺を付けた場合の狭さの解消の為に開発されたものです。
ハウスメーカーがメーターモジュールを本格的に採用しだしたのは私の覚えている限りでは平成7年〜8年頃にかけてだったと思います。これは積水ハウスさんの標準がメーターモジュールに変わったこともあって各社が一斉に研究開発したという経緯があります。その他にも大きな理由があるのですがそれは後ほど説明します。
その他にも住宅性能評価制度で最高等級が採りやすいというメリットがあります。住宅性能評価の中では『メーターモジュールを採用しなさい。』とは明文化されてはいません。実際に、尺モジュールであっても、3尺7寸5部(1137.5o)という寸法を採用すればいい訳です。ただし、この場合、規格寸法外になるので構造的に無駄な材料が大量に発生してしまいます。

では、メーターモジュールの欠点は何かというと

メーターモジュールの欠点


@ 利点で面積が増えた分、建物の面積が同じなら居室の面積が狭くなる。

A 和室のデザインが崩れる。(障子や襖が間の抜けた物になる。)
B 住設機器類の単体費が高い為、メンテナンスにお金が掛かる。
C サッシや内部建具の値段が高い為、メンテナンスにお金がかかる。

といった問題点が発生します。@に至っては「当たり前だろう!」と思われるかもしれませんがこれが意外と問題になる場合があります。40坪を超えるような大きな家の場合はあまり問題にならないのですがこれが都市部だと大きな問題になります。
例えば尺モジュール(910oモジュール)で廊下、階段、玄関、洗面所、トイレ、風呂の面積が全部で24.84uあったとします。これを単純にメーターモジュールに置き換えると30uですからメーターモジュールの方が5.16uほどこの部分の面積が広くなります。
ここで、もし都市部の住宅密集地に28坪の家を計画ししたとします。28坪は92.56uです。
そうすると先の条件にこれを当てはめた場合
尺モジュールで言うと、67.72uでメーターモジュールで言うと62.56uが残り(LDKと居室)ということになります。

ではこれをそれぞれ帖数に変換すると
尺モジュール:40.96帖
メーターモジュール:37.84帖
と、なります。こうやって見ると10%も変わってないのですがではここで想像してみて下さい。

主寝室の面積が3.12帖狭くなったと想定してみて下さい。この程度の大きさの建物で4LDKを作ろうとすると、尺モジュールの方で主寝室は8帖ぐらいしか取れないはずです。
ということはメーターモジュールの場合は主寝室が4.88帖となります。これではもう、ベットを2つ置くことどころか、セミダブルのベットを一つ入れるだけでいっぱいになってしまいます。この様に小さな建物の場合は居室部の減少率が激しいのでプランの段階で十分に検討しておかないと理想論倒れということになりかねません。

と、ここまでが一般的にメーターモジュールがお住まいになる方のメリットになるのですが実はハウスメーカーが積極的に採用した別の理由があります。
これは最初に採用した積水ハウスさんがここまで考えて始めたかどうかは判りませんが、最近のフランチャイズシステムで展開しているメーカーやパワービルダーがメーターモジュールを採用しているのはこの理由です。

尺モジュールよりもメーターモジュールの方がコストを抑えられる。


@ 単位面積当たりの構造材の材積が少ない為、材料原価が安くなる。

A 単位面積当たりの構造材の接合部が少ないので労務原価が安くなる。

というのがその理由になるのですが『えっ、なんで?』と思われるかもしれませんが理由は簡単です。
極論を書きます。91mの直線に910o間隔で柱を立てていけば、101本の柱が必要です。しかし、1000o間隔で建てていけば92本の柱で済みます。とすると1本当たりが同じ材積ならばメーターモジュールの方が9本分だけ材積が少なくなります。ただし、梁や土台の長さは変わりませんから単純に9/101だけ構造材のコストが安くなるわけではありませんが、柱の値段に関しては9/101だけ安くなったことになります。
これは労務費に於いても同じことが言えます。柱を立てる本数が9本少なくなればその分、接合箇所が少なくなるので工期が短くなりますから大工さんに支払う金額が下がります。また、最近では構造金物の量が増えていることから考えても接合箇所が少ない方が安くなります。
この様に木造軸組工法で考えればそのコストが安くなる為にローコスト系のメーカーは積極的に採用しています。

では、何故、全ての木造軸組系メーカーがメーターモジュールを採用しないかと言うと2つの理由にわけられます。
@ 和室のデザインがおかしくなるので、本格的な和室が作りにくい。その為、2時取得者や高齢者に評判が悪い。
A 住設機器や造作材、建具の値段が高い為に少ロットのメーカーでは建材がスケールメリットを出せない。
と、いうような理由です。ですから、建前の理由の他にこの様なコストがらみの理由があるわけです。