初夏 桜の季節が終わる頃、萌えさかり、ありとあらゆる種類の「緑」で私たちを楽しませてくれた森の木々が、5月になるとその緑を一気に深くしてゆきます。 いつも迷うのです。いったい何月からを「夏」と呼んだらいいのかと。今年について言えばということですが、5月最後の日曜日の強い日差しの中で「ああ、夏が来たんだなぁ」と、私は思いました。 写真上:すみよしの森の木々の間からあかねの森を望む。
この頃になると、森のあちこちで色とりどりの花が私たちを楽しませてくれます。それは野草であったり、樹木の花であったり、園芸種が野生化したものであったりします。 薊(アザミ)には、大きく春から夏にかけて咲くものと、秋に咲くものの二種類があるようですが、これは春から夏に咲く野薊(ノアザミ)。恩田の森の日当たりのよい場所、あちこちで見ることができます。まったく別種ですが、同じような草丈、同じような色の花をつける赤詰め草(アカツメクサ)もほぼ同じ頃に見ることができます。 この黄色の花は野草ではありません。胡瓜(キュウリ)の花です。花の付け根に可愛い「キュウリ」があるのがおわかりいただけるでしょうか。 胡瓜は森の畑、いたるところで栽培されていますが、これはなるせの森の谷戸の一番奥の畑のキュウリ。同じ仲間の南瓜(カボチャ)もあちこちで見かけます。色も形も似たような花ですが、こちらはキュウリの10倍ほどの大きさです。
あかねの森と宅地として開発された奈良二・三丁目の間の谷で咲く箱根空木(ハコネウツギ)。 「熊ヶ谷小川アメニティ」と名付けられビオトーブとして整備された場所ですので、おそらく植栽されたものと思いますが、その景観に良く馴染んでいます。同じ木に二色の花がついているのは、咲き始めが白でしだいに紅色に変化するためです。かつらの森の東側周辺部では自生のものと思われる箱根空木を見ることができます。 同じ場所の小川沿いの紫蘭(シラン)。こちらも整備された小川の環境に併せて植えられたものだと思いますが、野生種とは思えない美しい花で楽しませてくれます。熊ヶ谷小川アメニティでは水棲生物の保護にも力を入れているようですが、隣接地に大規模マンションがあるために「自然のオーバーユース」となり、維持に苦労している様子が見てとれます。
かつらの森とすすみよしの森の間の谷戸の田んぼでは5月初めに水が張られ、代掻きも済み田植えの時を待っていました。恩田の森の田んぼでは5月下旬から6月上旬にかけての2週間ほどで次々と田植えが行われました。
虫取撫子(ムシトリナデシコ)。食虫植物というわけではなく、花のすぐ下の茎で粘液が分泌され、小さな虫が付着することからつけられた名前のようです。森のあちこちで、ポツリポツリとあるいは群生しているところを見ることができます。なるせの森ではピンクの花に混じって白い花を見かけました。 なるせの森の台地で見かけた母子草(ハハコグサ)、別名は御形(ゴギョウ)。芹(セリ)、なづな(ピンペングサ)、御行、はこべら(ハコベ)、仏座(ホトケノザ)、すずな(蕪)、すずしろ(大根)、と呼ばれる春の七草のひとつです。虫取撫子も植物図鑑では春の花として紹介されているようですが、ここでは春から初夏にかけて、恩田の森で咲く野の花として紹介いたしました。
恩田の森の田んぼはどれも大きく四角にと、すっかり整備されています。もちろん田植え機を使っての田植えですから縦に横にまっすぐに苗が植えられるわけですが、時にこんな曲線美を見せて楽しませてくれることもあります。 多くの人の住むすみよしの森ではあちこちで紫陽花(アジサイ)の花を見ることができます。長雨で沈みがちな気持ちを引き立ててくれる花です。紫陽花は日本の固有種ですが、シーボルトが「オタクサ」の名前でヨーロッパに持ち帰ってからは園芸種として改良され、日本にもたくさん逆移入されています。残念ながら私にはどれが日本の固有種で、どれが園芸種の西洋紫陽花(ハイドランジャー)なのか区別がつきません。
すみよしの森の民家の裏庭で咲く紫陽花。
6月初旬までを「初夏・梅雨編」として6月8日に公開、それ以降、 9月中旬までを「盛夏・晩夏」として9月23日に公開いたしました。
< 23 September. 2004>
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