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各種臨床検査について
動物のからだの具合がすぐれず、病院に行くと、獣医師は必ずどこが悪いのか、どんな状態なのかなどと細かく聞きだします。それが間診です。飼い主の訴えは個人差もあり、かなり主観的なものも含まれますが、獣医師はこれらの予備的知識をもったうえで、診察にかかります。
診察は、獣医師が自ら五感を使っておこなうものですから、間診に比べると、より客観的なものといえます。
しかし、それは獣医師の経験や能力によっても異なり、たとえば十人が同じ診察結果(病名)をくだすとはかぎりません。その意味で、これもまだ半客観的なものといえるでしょう。
そこで、いろいろな機械や器具を使っておこなわれる検査が注目されてきます。
これなら担当獣医師以外の人が見てもわかる客観的なデータが得られることになります。
獣医師は、間診による主観的、診察による半客観的、そして検査による客観的データの3つを総合的に判断して、最終診断を下すのが通例です。
それが病名であり、それぞれの具体的な治療につながっていきます。 ただし、これらの診断は、動物たちがどこかが痛い、不快である、苦痛であるといったようにある自覚症状を飼い主に訴えたときにおこなわれるものです。つまり、ある特定の病気の発見を前提として下される総合診断にほかなりません。
●尿検査・便検査
●一般血液検査
赤血球数
ヘマトクリット
血色素量
総タンパク質量
MCV
MCHC
白血球数
白血球分画
網状赤血球
血小板
黄疸指数
●血液化学検査
アルブミン
AST
ALT
ALP
総ビリルビン
総コレステロール
中性脂肪
血糖
BUN
クレアチニン
アミラーゼ
LDH
CK
アンモニア
電解質(Na.K.Cl.Ca.P)
●レントゲン検査
●心電図検査
●超音波検査
尿検査・便検査
なぜ、尿や便の検査が必要なのでしょう。
動物のからだの中では、いつも古い物質と新しい物質が入れ替わっていますが、これを代謝または新陳代謝と呼んでいます。からだの中での代謝に異常が起こると、細胞に異常が認められ、それは血液中に溶け込み、いろいろな物質が尿を中心に、便にも排泄されてきます。したがって、尿や便を調べると、細胞レベルの異常を知ることができます。つまり、尿や便はからだの中の異常をチエックする重要な情報源のーつなのです。
尿は泌尿器系の疾患異常はもちろん肝臓、膵臓などの異常も推定できます。
便は動物の場合寄生虫などが絡むため特に重要な検査の1つです。
一般血液検査
病気の多くの場合、また健康度チェックの動物ドックでは、必ずといってよいほど血液検査がおこなわれます。なぜ、検査するのでしょう。
血液は、からだの中の血管や心臓の中を流れている液体です。それは心臓からのポンプ作用で送り出され、大動脈や毛細血管を通ってからだのすみずみまで酸素や栄養素を各細胞組織に運んでいます。そこでは当然のことながら新しい物質と古いものとが入れ替わる新陳代謝作用がおこなわれており、古くなった代謝産物や老廃物を運び去る働きもしています。したがって、血管の中を往来している血液の中身を調べると、からだの組織や臓器の状態、貧血などを知ることができます。つまり、正常な状態なのか、異常なのかを推定することができるのです。検体検査のなかでもとくに重視され、広くおこなわれるのは、こうした理由からです。
◆一般血液検査の説明◆
赤血球数
赤血球は、体の組織細胞に酸素を運び、不要な炭酸ガスを運び去る働きをしています。それが不足すると、酸素を運ぶ能力が落ち、体の各細胞は酸欠状態となり、生命そのものが脅かされます。
ヘマトクリット
赤血球容積値と呼ばれるもので、赤血球の占める容積がどうなっているかを調べるものです。
血色素量
ヘモグロビンと呼ばれます。赤血球のヘム(鉄)とクロビン(タンパク質)からなる複合タンパクです。実はこれが酸素の運び屋で、赤血球の中にびっしりと詰まっているのです。赤血球とヘマトクリットと合わせると最も重要な検査項目です。
総タンパク質量
血液中に含まれるタンパクの分量です。この1/2以上はアルブミン、残りがグロブリン、フィブリノーゲンなどです。これらには、血しょうの浸透圧の維持、免疫作用に関係しています。また、ビタミンやホルモンの運び屋でもあります。
MCV
平均赤血球容積と呼ばれ、これによって赤血球の大小がわかります。
MCHC
平均赤血球ヘモグロビン濃度と呼ばれ、単位容積の赤血球の中にヘモグロビンがどれだけ詰まっているかをみるものです。
白血球数
白血球は、細菌などの外敵が入ってきた場合、それと戦って体を守ってくれます。したがって、細菌が入っていたり、炎症を起こしたりすると、白血球数は増え、それを抑え込みにかかります。
白血球分画
白血球には、好中球、好酸球、リンパ球、単球などいろいろな種類があります。これらの細胞が全体の何パーセントを占めているかによって炎症などのステージ上の問題がさらに追及できます。
網状赤血球
血液は血管を通って体の中をくまなく巡っていますが、その中に現れる赤血球より幼若な血球のことをいいます。検査にあたっては特殊染色法で観察します。これによって赤血球の生成能力を判定できます。
血小板
血小板は出血したとき、それを止める大切な働きをしています。多すぎても、少なすぎてもいけません。
黄疸指数
動物の場合、血清の色はほとんど無色です。しかし、黄疸が起こると血清の色が黄色に変色します。この黄色の濃淡で黄疸の度合いを判定します。
血液化学検査
血液検査のなかで、血液学的検査と並んでもうーつ重要なものに血液の生化学的検査があります。
血液の生化学的検査とは、血液のなかに含まれているいろいろな物質を分析するもので、どんな物質がどれだけあるかなどを調べます。それによってからだの健康状態、とくに各内臓関係のほとんどをチェックできることから、重要な検査のーつとされています。
肝機能・腎機能・膵機能・心機能などの異常をチェック。
動物ドック検査でも必ずおこなわれるもので、血液一般検査のなかで、あるいはそれを細分化した形式、各機能別検査のなかでおこなわれます。
◆血液化学検査の説明◆
アルブミン
血清タンパクの一つで、血しょうの浸透圧を維持する作用があります。タンパク質の種類の割合をみる分画検査(A/G)をするときに必要です。
AST
正式にはアスパラギン酸アミノトランスフェラーセと呼びます。(別名グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ゙:GOT)これは、トランスアミナーゼと呼ばれるアミノ酸の造成を促す酵素です。ASTは、心臓に最も多く含まれ、次に肝臓、骨格筋にもあります。細胞内の酵素は、血液の中に放出されるので、その酵素の量を測定することにより心臓肝臓に障害が起こっているかどうかを知ることができます。
ALT
正式にはアラニンアミノトランスフェラーゼと呼びます。(別名グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ:GPT)これは、ASTと同様、酵素です。このALTは肝臓細胞に最も多く含まれるため肝機能検査の1つとなります。
ALP
正式にはアルカリフォスファターゼと呼びます。ALPは、リン酸酵素であり体のほとんどの臓器、組織に含まれていますが、特に肝、胆管、骨などに多く見られます。
総ビリルビン
ビリルビンは、赤血球が分解されてできる色素のことで、胆汁色素とも呼んでいるものです。肝臓の機能異常を調べる検査です。
総コレステロール
これは、4つの脂質のうちのステロイドの代表的な構成成分として知られているものです。
中性脂肪
トリグリセライドと呼ばれ、体の中にある中性脂質、リン脂質、糖脂質、ステロイドの4つの脂質の1つです。中性脂肪は砂糖などの糖質、炭水化物、動物性脂肪などが原料で、肝臓で作られます。
血糖
一般に血液中に含まれているブドウ糖のことで、組織細胞のエネルギー源となる貴重な物質です。
BUN
尿素窒素と呼ばれ、腎臓の機能を調べるときに検査します。肝機能が障害を受けても異常値を示します。
クレアチニン
クレアチニンは、肝臓で合成された代謝産物で非タンパク窒素の一種で、血液を介して腎臓から尿中に排泄されます。腎臓糸球体濾過率の指標としてBUNより臨床的意義があります。
アミラーゼ
アミラーゼはデンプンなどの多糖類を分解する酵素で、アミラーゼは膵臓、肝臓、腸粘膜、筋肉などに多く含まれます。
LDH
乳酸脱水素酵素と呼ばれ、心筋、腎臓、骨格筋に多く含まれ、これらの組織が破壊されると多くなります。
CK
クレアチニンキナーゼとも呼ばれ、心筋、筋肉などに多く含まれる。
アンモニア
正常な肝臓は腸内細菌によって産生される種々の毒性成分、すなわちアンモニア、メルカプトンなどを分解解毒していますが、肝機能が障害を起こすと、これらの有害物質をコントロールできなくなります。この検査では、血中のアンモニア量を測定いたします。
電解質(Na.K.Cl.Ca.P)
体の約60%は水分で、体液として体の中にあります。この中で電解質と非電解質が溶けあって存在しています。これがバランスを崩すと、脱水、浮腫、アシドーシス、アルカローシスになります。
レントゲン検査
なぜ検査するのか
X線は物体にぶつかっても向う側に通り抜ける透過力をもっています。からだに照射すると、透過する際に器官や組織の違いによって弱まったり吸収されたりするので、その差が濃淡のコントラストをつけてフィルム上に映し出されます。それをみてからだの内部構造の変化を推定することができます。
この原理を利用して、筋骨格系、胸部、腹部の異常を推定するのです。
心電図検査
心電図の検査は、心臓の機能が正常かどうかを調べるもので、循環器病の検査では欠かせないものとなっています。
心臓は、収縮や拡張をくり返すたびに1−3ミリボルトの電気をおこし、からだの中へ流れています。それを手や足や胸部などの皮膚につけた電極で外部の電流計に導き、それを増幅して心臓の活動電流を波形に記録したものです。
検査にあたっては、両方の手に電極をおいて電流を誘導する第一誘導、右手と左足の第二誘導、左手と左足の第三誘導、そのほか胸部6カ所の誘導法などが広くおこなわれており、波形はそれぞれ異なった変化を示しますが、その変化によって心臓の正常な活動あるいは病気などの異常を調べます。
この検査によって、心臓の収縮・拡張が正常におこなわれているかどうか、また心臓の筋肉に栄養と酸素を送り込んでいる冠状動脈の硬化や心筋そのものの異常を波形によってチェックできます。また、自律神経機能異常も測定できます。
超音波断層検査
この検査法は全く苦痛を与えずに簡単でもっとも効果のあるものとして最近たいへん普及し、検査の威力を発揮しているものです。超音波は耳に聞こえないほどの高い周波数をもつ音で、それをからだに発射すると、組織や臓器にあたってひずみを生じます。それをエコーすなわち反射波としてとらえてからだの中の変化を探ろうというものです。
この検査によって肝臓内部の病変または膀胱の結石などを簡単に発見することができます。また各臓器の癌などの診断ができるとともに心臓の弁の異常、眼の内部、妊娠診断、胆石、などをリアルタイムで動画で診断検査ができます。
超音波断層診断器を用いて、針生検もできます。(病理学的検査をするにあたり開腹手術をすることなく臓器に安全な部分より組織を生検用の針を使って採取すること)
ここでは検査項目別に簡単な概略が記されています。診断のためには、様々な臨床検査と合わせて考えなければなりません。異常検査結果については、必ず、獣医師の説明を受けてください。
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