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年齢からみる皮膚病シリーズ@〜若いワンちゃんによくみられる皮膚病〜
動物の体で寄生生活を営む「寄生虫」の中には、主に原虫類、吸虫類、条虫類、線虫類、ダニ類、昆虫類が含まれます。「寄生」とは、宿主(宿を貸す生物)と寄生体(宿を借りる生物)が生活を共にする状態をいいます。寄生体は宿主に寄生することで栄養源を得るなどのメリットがある一方で、宿主側は病気を患うなどのデメリットが存在することが一般的です。しかし、宿主側にとって無害なケースもあり、そのような関係を「共生」といいます。今回は、普段はワンちゃんの皮膚に無害で共生している「ニキビダニ」をとりあげてみましょう。ニキビダニ(犬毛包虫)は、健康なワンちゃんの毛穴の中に常在し、宿主の皮脂や細胞成分を食べながらひっそりと暮らしています。この状態はワンちゃんにとっては全くの無害です。しかし、このニキビダニが何らかの原因で過剰に増殖すると、ワンちゃんに「ニキビダニ症」を起こしてきます。発症は、1歳未満の若いワンちゃんに多く、初期は局所性で、口の周囲、顔、足などに脱毛を起こしてきます。全身性に発展するとフケ、ベタつき、赤み、じゅくじゅくするなどの症状が出始め、かゆみを伴うので、ワンちゃん自身が掻きむしることで、二次的に皮膚病変ができてしまいます。ニキビダニが過剰増殖する原因は、実はワンちゃん自身にあるとされています。遺伝の関与、栄養状態、免疫力低下など様々な要因が考えられていますが、特に若いワンちゃんにおいては、皮膚のバリア機能が未熟であることから、ニキビダニが増殖しやすい環境であると考えられています。成長によって皮膚のバリア機能が完全に構築されれば、自然治癒するケースも多くみられますが、時にダニの駆除が必要となる場合もあります。
年齢からみる皮膚病シリーズA 〜高齢のワンちゃんによくみられる皮膚病〜
昔から「皮膚は内臓の鏡」と言われるように、皮膚病は内臓の状態を深く反映していることがあります。今回は、喉もとにある「甲状腺」という器官が、正常に機能しないことで皮膚に症状として現れてくる病気、「甲状腺機能低下症」をとりあげてみましょう。甲状腺機能低下症は、中〜高齢のワンちゃんでしばしばみられます。甲状腺からは、甲状腺ホルモンが分泌されます。甲状腺ホルモンは、エネルギー産生、蛋白質や酵素の合成、炭水化物や脂質の代謝など、様々な作用をもっています。甲状腺機能低下症では、このホルモンの分泌が不足することで、体に様々な症状として現れてきます。皆さんが一緒に生活していて、まず気付くのが、最近うちの子の動作が緩慢になった、運動を嫌がるようになってきた、食べ過ぎているわけではないのに太ってきた、などといった徴候です。これらは、うちの子が歳をとったから?と考えてしまいがちですが、実は甲状腺機能低下症が潜んでいるのかもしれません。甲状腺機能低下症では、体表にも変化がみられます。体の左右対称性の脱毛、被毛の発育不良、皮膚温度の低下などのほか、色素沈着(黒色化)、脂漏、フケ、細菌やカビの感染による皮膚炎を認めることがあります。また、尾に局所性の脱毛(ラットテイルと呼ばれます)がみられることもあります。甲状腺機能低下症は、上述したような全身の徴候に加え、血液検査、甲状腺ホルモンの測定によって診断を下します。甲状腺機能低下症と診断されたら、甲状腺ホルモンの不足分を補充することで治療を行います。適切にホルモン製剤の投与を続けることで、活動性、食欲、皮膚症状などの改善がみられますが、生涯に渡っての投与が必要になります。
年齢からみる皮膚病シリーズB 〜若いネコちゃんによくみられる皮膚病〜
幼ネコの耳や顔面に、脱毛、かさぶた、フケなどがみられることがあります。これは「皮膚糸状菌症:ひふしじょうきんしょう」という病気かもしれません。皮膚糸状菌症は、Microsporum canisなどのカビが原因となって引き起こす皮膚病です。成ネコでは、体表に皮膚糸状菌が存在しても明らかな症状を示さない場合もありますが、バリア機能の未熟な幼ネコでは発症し、問題化するケースが多くみられます。感染は、皮膚糸状菌症の動物との接触のほか、汚染された首輪、ブラシ、おもちゃなどによって皮膚糸状菌が媒介されることもあります。もし周りに皮膚糸状菌症の動物がいるのであれば、その周囲の環境も含め、管理には十分な注意が必要です。ネコちゃんのグルーミングは、感染に対する重要な防御反応です。皮膚糸状菌が付着しても、自ら舐め取ることで感染から身を守ることができます。しかし、耳や顔面、足などの部位は、グルーミングしにくい場所であり、これらの部位での発症が多くみられます。幼ネコの皮膚糸状菌症が多いのは、母ネコによるグルーミングが無くなることも一因と考えられます。 皮膚糸状菌症の診断は、紫外線を照射して真菌代謝物を確認するウッド灯検査や、感染した被毛の観察、培養検査などによって行います。皮膚糸状菌症は自然軽快することもありますが、放置すると環境中に皮膚糸状菌をばらまいてしまうことになります。また厄介なことに、皮膚糸状菌症は人にも感染する、人と動物の共通感染症であり、そうした点からも早期の診断・治療が望まれます。治療は抗真菌剤の投与、シャンプー療法などを取り入れます。併せて動物の使用していたベッド、周囲の環境の消毒・清掃が必要になります。
年齢からみる皮膚病シリーズC 〜高齢のワンちゃんによくみられる皮膚病〜
副腎皮質機能亢進症は、「副腎」という内分泌器官から「コルチゾール」が過剰に分泌され、様々な問題が引き起こされる病気です。コルチゾールは、生命活動の維持に大きく貢献しているホルモンですが、過剰な分泌は体に大きな負担がかかります。脳にある下垂体から、副腎皮質刺激ホルモンが過剰に放出されて副腎皮質が肥厚したり、副腎皮質が腫瘍化したりすることで、コルチゾールの過剰分泌が起こります。クッシング症候群とも呼ばれるこの病気は、一般的に中年齢以上のワンちゃんでみられます。治療せずにいると徐々に進行し、生命に関わってくることもある怖い病気です。副腎皮質機能亢進症が発症すると、筋力の低下と共に、お腹が目立つ外観(腹部膨満)を示すようになります。皮膚にも変化が表れます。過剰なコルチゾールによって毛包と皮脂腺が萎縮してしまうため、脱毛が起こります。また、フケがみられたり、皮膚が薄くなる、弾力性がなくなる、皮膚表面に石灰沈着が起こる、といった変化がみられます。またコルチゾールの免疫抑制作用が過剰に働き、局所〜全身の感染を引き起こしやすくなります。また、日常でも異常な行動に気付くようになります。例えば、水を非常によく飲むようになり、それに伴って尿量が増えます。時に失禁してしまうこともあります。また食欲が異常に旺盛になったり、異物を誤飲してしまうことがあるので注意が必要です。副腎皮質機能亢進症の症状がみられたら、コルチゾール濃度測定を含めた血液検査を行い、診断を確定します。副腎皮質機能亢進症と診断されたら、その原因に基づいて内科療法や、場合によって外科手術を行います。また、この病気は他の内分泌疾患を合併していることも多いため、総合的な検査が必要になります。
年齢からみる皮膚病シリーズD若齢のワンちゃんによくみられる皮膚病
犬のアトピー性皮膚炎は、環境中のアレルゲン(異物)が口や鼻から吸い込まれたり、皮膚に付着して吸収された場合に発症する、アレルギー性の皮膚炎です。通常6ヶ月齢〜3歳齢までの間に、初めての発症がみられます。アトピー性皮膚炎の発症は遺伝的な体質によるものが大きく、柴犬、シー・ズー、ウェルシュ・コーギー、フレンチ・ブルドッグなどの犬種ではよくみられます。アトピー性皮膚炎を引き起こすアレルゲン物質としては、ハウスダストマイトや花粉、ダニ、カビなどが挙げられ、皮膚が弱くバリア機能が正常でないワンちゃんでは、アレルゲンが侵入しやすくなる為、発病しやすくなります。症状は顔面や耳、足、お腹などで見られるかゆみや赤みで、ワンちゃん自身が舐める・噛む・引っかくなどをしてしまうことで、二次的な皮膚病も発生してきます。またアトピー性皮膚炎のワンちゃんでは、指間の皮膚炎や結膜炎、外耳道炎などの症状を併発するケースも多くみられます。アトピー性皮膚炎の治療の軸は、シャンプー療法です。シャンプーは皮膚の汚れや余分な脂分を落とし、皮膚を正常な状態に近づけ、バリア機能を持ち上げるだけでなく、皮膚に付着したアレルゲン物質を除去する効果もあります。シャンプー療法を行いながら、細菌やマラセチア感染の併発があれば治療します。またステロイド剤やシクロスポリンの投与、犬用インターフェロンの皮下注射などを行い、かゆみのコントロールをします。アトピー性皮膚炎はかゆみが強い場合が多いですが、治療をすることで少しでもかゆみを減らすことが出来れば、ワンちゃんの苦痛を和らげてあげることができるでしょう。
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