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「流血の魔術 最強の演技
すべてのプロレスはショーである」ミスター高橋

 プロレスの裏側が暴露されるようになったのは80年代中期頃からだと思う。
この頃からプロレスの流血はレフェリーまたはレスラー自身がカミソリで切っていることが
一部マニアに知られるようになった。
 私が見たことがある流血試合で印象に残っているのは、ブロディVS猪木の初対決でブロディが
猪木のローキック+鉄柵攻撃で足から流血するシーン。猪木はヒザの裏を
攻撃していたのになぜかブロディはヒザから血を流していた。板坂剛の本にはブロディがクギ
で自分のヒザを刺していた・・と書かれていた。たぶん、そうなのだろう。
 新日で長州だったと思うが試合中、急に手首からもの凄い量の血が流れてきたことが
あった。別に手首を攻撃されたとかそういう前フリがなかったのに、である。多分これは
手首のテーピングしてあるところにカミソリを隠していてそれが何らかのはずみで手首を切ってしまった
のではないかと思う。多分。
 とにかくプロレスの試合で鉄柱攻撃のあとにレスラーやセコンドがゴソゴソ何かやってるときは
まずカミソリで切っていることは確かなのである。
だから、どうした。
 流血を演出したから、筋書きがあるからどうしたというのか。
プロレスは格闘芸術である。熱い魂を格闘のスタイルを借りて表現するジャンルなのである。
この闘う魂というのは過剰演出なくして見る者に伝えるのは難しい。
芸術や美とは何かといったら「過剰さ」とか、そんなものだと思う。かつてのプロレスも
非常識な演出・・・流血、軍団抗争、裏切り、差別、憎悪、相手の技を受ける、G馬場・・・が社会的な善悪や
常識を超越して見る者に衝撃を与えてきたはずである。


 ミスター高橋は「プロレスは立派なエンターテイメントなのだと胸を張って情報公開を
しない限り、プロレスラーは永遠に悩み苦しむことになる。

(中略)このまま格闘技を装って嘘を貫き通すか、それとも勇気を出して、新しいプロレスの時代を
切り開いていくか。
私はぜひとも後者を選択してほしい。そもそも嘘を貫くこと自体、もう無理なところまできていると
思う。」
などと言っている。

 日本のプロレスが面白いのはズバリ、格闘技を装って嘘を貫き通しているからである。
日本のプロレスが低迷しているのは、やはりスケールのデカい嘘をつける能力がなくなってきている
からだろう。かつて新日が全日と差別化するために「ストロングスタイル」「異種格闘技」を打ち出し、
UWFが新日と差別化するために「新日道場伝説」「シューティングプロレス」「カール・ゴッチ」を
持ち出し・・用心深くなってきた大衆を乗せるため、より緻密な嘘をつくことで、熱狂を生んできた。
 最近、総合格闘技イベントでプロレスラーが見知らぬ格闘家どもに負けたりして、プロレスラーの地位が
落ちてきている。プロレスの名誉を挽回するには、総合格闘技かぶれのガチンコ、ガチンコとうるさい
チンコ野郎どもを騙せるだけのより巧妙な嘘を開発するしかあるまい。

 いくらエンターテイメントだからといって手品師が手品をやる前にタネを明かしたりはしまい。
昔の川口浩探検隊なんか誰が見たってヤラセでも番組で「これはヤラセです」とテロップが出たりしないだろう。
演技だからといって、最初から演技だと言ってしまえば緊張感というのは生まれない。



目次から抜粋

第1章
伝説の猪木VSロビンソン戦の内幕
勝ち役と負け役はこうして決める
”新宿伊勢丹前事件”のシナリオ
4週間かけてアンドレにギブアップを承諾させた

第2章
異種格闘技戦でも勝敗は決まっていた
猪木VSアリ戦こそ正真正銘のセメント
チョチョシビリ、ウェップナーとの入念なリハーサル
猪木さんがグレート・アントニオ戦に仕掛けたシュート
強きを助け、弱きをくじく”燃える闘魂”

第3章
負け役=ジャブボーイたちの反乱
今は若手がいきなり”ハイスパット”の練習をしている
あの暴動は藤波さんがジャブを拒否したから起こった
ゴッチはプロレスの神様ではない
バーリ・トゥーダーから逃げた”神様”と”闘魂”

第4章
カミソリの刃でサッと切り裂く
シンの腕折り、猪木さんの目つぶし・・・数々の演出
”セール”を嫌ったレスラーをタイガーマスクが制裁
坂口さんの猪木さんに対する「人間不信」の真相

第5章
アメプロこそ真の実力主義
プロレスは世界最強の芝居なのだ
早くプロレスの真実を公開したほうがいい
今のプロレス中継の解説がつまらないのは当たり前
史上最強のプロレス団体WWFから学ぶこと
猪木&新間コンビに最後の大仕事をしてほしい


第1章の内容

・猪木と60分フルタイムドローという”外人レスラーとして最大級の扱い”を受けていたビル・ロビンソン
が全日本プロレスに引き抜かれたあとG・馬場にあっさりと敗れたことに対し「新日本の姿勢を踏みにじり、
全日本の軍門に下った」
と怒るミスター高橋。しかし、「しかし、新日本プロレスを離れた今になって
考えれば、ビジネスライクな外国人にとっては当然の選択だったのだと納得がいく」
と書いている。
ビジネスライクな高橋にとってはプロレスを踏みにじる本を出してヤラセ嫌いなジャップ相手に金儲け
するのも当然の選択なのだろう。

・プロレスの隠語
ジャブ・・・スターを引き立たせる負け役
ハイスパット・・・試合の見せ場
アングル・・・試合を盛り上げたり特定の選手を売り出したりするために、何らかの因縁や経歴を
でっちあげること
ケッフェイ・・・「聞かれるな、注意しろ。話題を変えよう」という暗号のようなもの

「あまりにも有名な長州の「俺はお前の噛ませ犬ではない」という名セリフも、」と、ミスター高橋ですら
「噛ませ犬」は長州の発言だと思っている。何度も言うが「噛ませ犬」は古館伊知郎の発言。

・新日営業部のアルバイトをしていた若者を血の気の多い客に仕立て上げ、会場でタイガー・ジェット・シンを
挑発するように命じたらしい。案の定この若者はシンに殴られる。

・シンのトレードマークだったサーベルやコブラクローといったフィニッシュ技の演出は全て猪木のアイデア。
これは凄いことだ。

・1986年6月17日、猪木が初めてアンドレからギブアップを奪った試合。高橋はアンドレに負けをOK
させるために4週間、アンドレの酒につき合った。アンドレは決戦前夜の酒の席でもイエスとは
言わなかった。そして試合当日、高橋が外国人控え室に入ると、
アンドレが「ピーター(外人レスラーが呼んだミスター高橋のニックネーム)、わかったよ」
と言う。そして
「ピンフォールはだめだ。イノキに腕を極めろと言ってくれ。それでオレがギヴアップする。」
 しかし、アンドレと猪木では体格が違いすぎるから、猪木がアンドレに逆十字を極めるのは絵的に
嘘っぽい。高橋が「で、どんなふうに腕を極めればいい?」と聞くと、アンドレは
床に寝転がって、身ぶりを交えて説明しはじめた。
あの歴史的なフィニッシュはアンドレのアイデアなのである。これも凄い話である。
 しかし、この後の文章では「初勝利に花を添えるために、”猪木が初めてアンドレを投げる”という
シーンを作りたかったのだ」
とアンドレにボディスラムを承諾させる話が出てくる。高橋は、
猪木がハーリー・レイス、ローランド・ボックの次にアンドレをボディスラムで投げた男であることを
知らないでいる。1981年のスタン・ハンセンよりも前のことである。おまけに「実はこのころ
私がアンドレを説得するために毎晩酒につき合っていたことは、営業本部長だった新間さんが、
ニューヨークのビンス・マクマホン(先代)に逐一報告していたという。」

と、なぜか1986年当時、すでに新日にいなかったはずの新間寿が登場してくる。ミスター高橋の本のほうが
「最強の演技」なのではないかと言いたくなるほどデタラメな内容である。

第2章
「当時は生放送が多かったから、リング上にいる私にディレクターが合図を送る。」
「私はそれを見ながら、選手に知らせる。放送終了の時間が迫っているので、この辺りでフィニッシュに
いこうというときは、選手の耳元で「レッツ・ゴー」とささやく。」

と放送終了前決着のタネあかし。
「ノロノロした展開から急にレッツ・ゴーでは不自然だから、」
「最近はスペシャル枠でしか生放送されないので、たまに見るとスタッフもレスラーも不慣れな印象を
受ける」
と去年(2001年)の猪木軍VS新日本の生放送時のファイナル、橋本VS健介(放送終了直前に
橋本が佐々木健介をハイキックで失神KO。誰が見ても唐突なフィニッシュ。)のことを言いたげな文章が
登場する。
 猪木VSウィリエム・ルスカの試合は試合途中で番組が終わり、9時からのドラマか何かのときに
テロップで猪木勝利の一報を流したらしい。これも真剣味を出すための演出とのこと。

「みなさん気になっていると思うので、異種格闘技戦のセメントはどの試合だったのか、
結論を先に書いておこう。
それは対モハメッド・アリ戦、対アクラム・ペールワン戦だ。」

 今回の高橋の本の中で一番盛り上がる部分である。
「少なくともアリ陣営が拳銃を隠し持っていたことは事実らしい」
「アリ戦のキーマンである新間さんも「あれは”本当”だよ」と言っていた。新間さんが私に嘘を
つく理由は何もないので間違いはない

「バンデージにシリコンのようなものを注射してガチガチに固め、とても危険な武器になっていたのも
事実らしい」

 既出ネタも多いが暴露本で「猪木VSアリ戦はセメント」と書かれると読んでいてドッキドキする

・猪木VSアクラムペールワン戦では
「こちらはいつもどおりやるつもりで、申し合わせも当然のこととしてできる腹づもりだったと思う。
ところが、それが大きな誤りだった。王家に仕える格闘家一族の子孫であるアクラム側は、
申し合わせなど絶対に受け付けようとしなかった。」
「「おい、新間、高橋、何やってんだ。早く話しをつけてこい、バカ野郎」
試合前の控え室で猪木さんの怒声が響く。」
「けっきょく話がまとまらず、真剣勝負に臨まざるを得なかったときの猪木さんのあせり、緊張した
様子は今も忘れられない」

そして猪木VSペールワンは猪木が相手の肩を脱臼させ、勝利したのだが。
「実際、試合が終わって、私が控え室に入ったとたん、猪木さんの怒鳴り声が聞こえた。
新間、てめえ、この野郎、俺にこんなこと(真剣勝負)をやらせやがって」
この言葉からも、猪木さんがどれだけの恐怖心を抱えていたかがわかるだろう。」
「闘魂の微塵も感じられなかった」

と猪木を冒涜。しかし、
「ペールワンのセコンドについている者たちは、耳が片方ちぎれている者、片目がつぶれている者など
がいて、それは凄まじい様相だった。彼らにとって闘いとは、そういうものだったのだ。反則とか
ノールールという感覚すらなく、ふつうの闘いがそうだったということだ。」
と殺るか殺られるかの
勝負であったことを強調。
「ふだんリングの上で過激な芝居を演じている千両役者の猪木さんが、まさに死の恐怖すら漂う真剣勝負
に臨んで勝ったのだ。」
と誉めているのか、けなしているのかよくわからない。多分誉めているのだろうが。

・チョチョシビリとの異種格闘技戦は佐川急便所有の体育館でリハーサルを行った。
チャック・ウェップナーとの試合では夜の新日本道場で手合わせをしていた。

・”海賊男”の正体は初代が猪木(フロリダで武藤の試合に乱入)、猪木VSマサ斉藤戦での
海賊の正体はブラック・キャット。越中詩郎、小林邦明、小原道由、ボブ・オートン・ジュニア、ザ・ジャッカル
などが日替わりで海賊になっていた。

第3章
・藤波VS長州の”雪の札幌・藤原テロリスト事件”の真相は・・
この試合はすでに別のシナリオができていた。しかし、
猪木「長州が花道を歩いているときに誰かに襲わせて、長州を血だるまにして、試合をできないように
しちゃおうよ」

高橋「えっ、そんなことをして・・・・・・それからいったいどうするんですか」
猪木いや、とにかく俺にまかせろ。今日は誰が試合あいてる?」
高橋は思わず小杉の名を出し、猪木も小杉にやらせようとしたが高橋は反対する。
猪木「いいんだよ、誰だって。俺が見せたいのは、長州がやられるところなんだ。襲うやつは誰だって
いい」

高橋「それじゃあ藤原(喜明)でいきましょうよ」
猪木「小杉でいいんだ。小杉で」
高橋「小杉じゃできません」
猪木「うるせえなあ、お前は。それじゃあ勝手にしろ」
押し問答の挙げ句、藤原にテロ行為をやらせることになったのである。

・ビートたけしの”たけしプロレス軍団”&マサ斉藤が送り込んだ刺客ビッグ・バン・ベイダー
の初来日時、猪木は藤波にジャブ役を依頼した。
ベイダーの来日デビュー戦のときのメインは猪木VS長州。長州が新日Uターンしてきてから、
初めての対決で、ファンの関心は高かった。
が、なんと
「藤波さんがジャブを拒否したことで状況がややこしくなった」
ため、猪木は「それじゃあ俺がジャブをやればいいんだろう」
と言い放ち、VS長州、VSベイダーの2連戦を強行。長州戦は試合開始早々、長州を血だるまにして
馳の乱入で猪木の反則勝ち、、だったと思う。その後ベイダーとの試合も猪木はあっさり敗れる。
 2連戦の強行ならまだしも、この2試合どちらも内容が無いダメ試合だったため、バカな新日ファン
はまたしても暴動(通算3度目)を起こし、新日は両国国技館が使用できなくなってしまうのである。
この後猪木VSベイダーの再戦で猪木が入場時、一部のファンから野次られているのを見たことがあるし、
ベイダーが入場時に客に生タマゴを投げられたのも見たことがある。これから考えると、
藤波は全くヒドイ男としかいいようがない。
「あれ以来、猪木さんは藤波さんに対して、憎しみに近い不信感を持った」
のも無理はないし、
「あの暴動はあいつのおかげだ」
「これから先、絶対に浮かばれないようにしてやる」
と猪木が何度も口にするのも無理はない。

「新日本プロレスで誰がいちばん強かったか。ズバリ言って、坂口さんと長州は抜きん出て
いた。UWF系だろうが何だろうが、この2人には誰もかなわなかった。」

という衝撃の告白。坂口が柔道出身なのに関節技を使わなかったのは
「あまりに危険なため」という噂は本当だったのである。スタン・ハンセン著「魂のラリアート」でも坂口最強
をほのめかす文があったが・・。では同じ柔道出身のバッド・ニュース・アレンの強さはどうだったのか、・・
そこまでは書いてなかった。

・ミスター高橋はゴッチ流のフルスクワットよりルー・テーズのハーフ・スクワットを推奨。
「”プロレスの神様”というゴッチの異名は、実は彼にはふさわしくないと思う」と高橋。

「もとをただせば、社長である藤波さんが、今さらドラゴンなどといってリングに立っていることが問題だ」
と藤波批判。

・高橋は引退する前に、引退後のレスラーの受け皿として警備会社を設立することを新日に提案した
らしい。一度は会社も同意して高橋は準備を進めたが、高橋のレフェリー引退目前になって
この話は消えてしまったらしい。
「いろいろな可能性があったはずなのに、株式上場まで考えるほどの資金力を持っているはずの
新日本プロレスは手のひらを返したように、私との約束について口を閉ざした。
会社の事業方針については、これ以上何も言うつもりはない。ただ、半分以上ばれている
プロレスの本質を、これ以上無理に隠し通すことは百害あって一利なしだと思うのだ

これを読むと、高橋は警備会社設立の件を根に持って今回の暴露本を出版したのでは、と勘ぐりたくなる。

第4章では
・プロレス内部では試合で流す血を”ジュース”と呼ぶ。
メキシカンは”サングレ”と呼び、アブドラ・ザ・ブッチャーは”カラー”と呼んでいた。
ジュースのある試合では高橋はカミソリの刃を短くカットし、指先につけてテープで巻き、
爪の先から1〜2ミリ刃を出して、そこにもテープを巻いていたとのこと。
で、試合中に鉄柱攻撃などのシーンで、素早くレスラーの額に親指の爪を立てるようにして切ったらしい。
この文を読むだけで額の辺りがムズムズする。
ちなみに流血後は応急処置として接着剤で傷をふさいでいる、と藤波が昔、欽ちゃんの番組で言ってた。

「必ずしもレフェリーが切るわけではなく、自分で切るレスラーもいる。
たとえば猪木さんは絶対に人を信用しないから、私にやらせることなどなかった。」

・・・・絶対に人を信用しない人間だったら借金地獄にあわなくてもすんだのだが。

「ただし、あまり傷が残らないように、ブスッと刺した後は、短く五ミリくらい引く。
下手な切り方をすると長く切れてしまって後が残る。」

なるほど、いい勉強になる。

「猪木さんはジュースの出し方も抜群に上手かった。」
タイガー・ジェット・シンのコブラクローをふりほどくふりをして、自分で持っていたカミソリで喉を切ったらしい。
自分の身を切り裂いてまで、徹底的に相手の凄みを引き出していく猪木さんの執念と上手さは、
見ていて身震いするほどのものだった。」


・坂口征二はタッグでハンセンと戦う前に今日、私、血を吐きますからと言ったので、高橋は
外人レスラーの血を注射器で抜き取りそれをコンドームのなかに入れて試合中に坂口に渡した。
その後ハンセンのラリアートが坂口に炸裂。ラリアート直前に血入りコンドームを口に入れた坂口は
血を吐きまくる!これがストロングスタイルだ!

・第五章では「アメプロこそ真の実力主義」としてWWFを「史上最強のプロレス団体」と持ち上げている。


 ミスター高橋はエンターテイメント宣言したWWFが成功しているから日本も情報公開しろと
言ってるのだろう。いまさらこんなこと言うのもなんだが、WWFも日本でどの程度人気があるのかといえば、
メロン記念日より少し上かな・・ぐらいのもんじゃないだろうか。
WWFのエンターテイメントプロレスは、単純で軽くて器のデカい、アメリカでだからウけるのであり、
日本人には理解されにくいと思う。もっとも輸入牛を和牛と偽ったぐらいで大激怒してる器の小さい今の
ジャップには、アメプロであろうが日プロであろうがプロレスの素晴らしさを理解できるだけの頭などないだろうが。
 ショーであろうが格闘技であろうがどちらも真剣勝負の世界であることには変わりない、面白ければ
どうでもいい、ということが理解できるようにならなければ・・だが現時点では不可能。
プロレスが生き延びるにはプロレス側が変わるのではなく見る側の人間の頭の中をイジるしかあるまい。
例えば、21世紀になっても格闘技とプロレスの境目をうやむやにしてプロレス幻想を膨らませようと
すべくアレコレ仕掛けるアントニオ猪木のように。嘘、嘘、嘘、それ以外プロレスが救われる方法はない。
プロレス関係者はこれからも大衆を騙しつつけて欲しいし、そうしなければならない。
大衆を騙すことに疲れて暴露本を出すミスター高橋などプロレス業界の脱落者にすぎない。
この本を読んで「嘘をつかないで本当のことを書く高橋は常識&勇気がある真面目な人間」など
思ってもらっては困る。業界を守るために泥をかぶれる人間のほうが遙かに偉いのだ、
ということを言っておきたい。

(昭和77年2月23日)

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