ムビラ製作者 JOHN KUNAKA


PAUL BERLINER


 ジンバブエのNyamwedaに住んでいた、故John Kunakaは、注目に値する男でした。 彼は、「Maridzambira」という愛称をつけられた、最高のmbira(ムビラと発音します。)演奏家であり、熟練した鍛冶屋、そして大工でした。

 それらの分野の知識をむすびあわせる彼の能力のため、Shonaの人々の古代の儀式の道具としてのmbira dzavadzimu(ムビラの原形)のマスター・メーカとして早くから評判でした。Kunaka[注1] の(造った)楽器は、ジンバブエのMondoro村だけでなくHarareとHighfieldsの都市のエリアにも人気がありました

 私がはじめてJohn Kunakaに会ったのは、私が勉強していた有名なグループのMhuri yekwaRwiziのメンバーのmbiraプレーヤーが、1971年に、John Kunakaにアンサンブルのための楽器のセットを作るように依頼したときでした。最初の注文が完成されたあと、私はの2番目の楽器を注文するためKunakaに近づきました。そして、私が、楽器の製作過程を撮影したり、観察することに、快く同意してくれました。

   この記事は、mbira のsoundboard(胴体)のための木を倒すことから、楽器の仕上げまでのKunakaの作業過程を紹介します。それは、mbiraの調律へのすばらしい作業過程を記録します。さらに、私は、記事が実用的な価値を持つことを望みます:興味がある読者は、ここに提供された情報から、読者自身の楽器をつくることができ、入手可能な文献からいくつかの伝統的なmbiraの楽曲を習うことができます。.[注2]

John Kunaka
1. 完成したムビラを持つJohn Kunaka

  mbiraの制作を始めるために、John Kunakaが住んでいるMondoroの村から木がしげっているエリアの近くに、わたしを連れて行きました。 我々がしばらく歩いた後に、彼は、大樹を指して、mbiraのsoundboardのための材料として選びました。木は、mubvaropaと呼ばれる硬い木で、Shona語で「血に染まった」という意味です。その学名は、(より一般にはmuningaとして知られている) pterocarpis angolensisです。あるいはその特有の赤い樹液から「bloodwood」と呼ばれます。Kunakaは、soundboardのための第2、第3の候補の木材が、地元のmurira nyeze、およびmukambaの森にあると言いました。

 mubvaropaの木を切り倒した後で、Kunakaとアシスタントたちが、いくつかの大きな丸太(直径10インチ、5フィートの長さ)にして、村へ持ち帰りました。 彼は、一つの丸太を1 1/2インチの長さに切断し、縦に真っ二つに割りました。Kunakaは、大きな丸太の1つに座り、半分に割った木をのひざの上に垂直に立て、表面を斧で大ざっぱに削りました。そして刃先が、斧の取っ手に対して直角にまがった小さな手斧に持ち替えました。Kunakaは、木を削りながら、10年前に母方の叔父からmbiraを作る方法を教わったと話してくれました。彼の伯父よりKunakaのmbiraづくりのほうが勝っている点は、数年前、ヨーロッパの大工について働いている間に、よりよい道具と使い方を習得したということです。


 Kunakaが手斧で削った後で、木の寸法を測定しました。幅が、9インチ、厚さが 2インチ、長さが18インチの長方形の板になりました。彼は、木の板の表面に、soundboardを切り出すための下書きをしました。そして、のこぎりで、長さが8 3/4インチになるように切断しました。木の板の裏表をカンナで削って平らにしました。厚さは、1 1/8インチになりました。Kunakaは、木の板の側面を注意深くならし、台形になるまで削りました。:板の上面が7 3/8インチの幅、板の下面の幅が8インチ 。彼は、板の端を丸くならしました。そして、再び板の裏を滑らかに削りました。板を表にかえし、Kunakaは、mbiraの内側の溝を彫るために輪郭を描きました:上辺から1 1/8インチ、下辺から1インチ、横の辺から3/8インチ。この輪郭の内側は、ハンマーでトントンと手斧をたたきながらおよそ1/4インチの深さで削り出しました。上辺の真中あたりに、幅3/4インチ、長さ2インチの長さの直方体を削り残します。これは、soundboardのブリッジを支えるために必要になります。

Figure
2. SOUNDBOARDの寸法

 仕事を終えた後で、Kunakaはsoundboardに彫った溝のことを mupendero ,と呼びました。削られなかった直方体の部分を mutanda と名づけられていることも教えてくれました。一本の丸太からsoundboardをつくりあげるのに2時間30分を要しました。Kunaka は、作業をつづけるためには、木が緑であったから、1週間から2週間 soundboardを乾燥させる必要があるといいました。 もし mbira のキーが現在の状態で soundboard の上にマウントされていたなら、soundboard が乾いた時、キーの締めつけが緩んでしまう。 彼は木の板を買う余裕があるときは、時間と労働力を省略するために、用材店から soundboards のために窯によって乾燥させられた木を使うことが多いと説明していました。

 

キー(鍵盤)を押える仕組みとブリッジ

 1週後、再びJohn Kunakaから呼び出されて村に戻りました。soundboardは赤みをおびていました。そして、Kunakaは、いくつかヒビの入った場所を接着剤でつけました。

 プロジェクトを続けるため、彼は、mbiraのキーを適切な場所にあるように保つ機構の準備をさせました。Kunakaは、ちょうどsoundboardの上辺から約1 3/4離れた位置の溝の下あたりに、1/4インチの刃先をもつ手ドリルを使って4つの穴を開けました。(fig. 3a). つぎに、彼は,  厚さ1/8インチの一片のくず鉄をカットして幅1/2インチ長さ7 3/4のブリッジを作りました (Fig 3b).

Figure 3
3. ブリッジとeyeboltsのための穴

 万力でブリッジをまっすぐにした後で、ブリッジについていたサビをヤスリで落としました。
soundboardの上辺の溝から1インチ下に、ピカピカになったブリッジを柔らかく金づちで打ちつけました。
それから、彼は、打ちつけた跡の溝に沿って浅くのこぎりをひいて、その場所にsoundboardよりも1/16インチ高くなるように、ブリッジを溝にやさしく金槌ではめこみました。(Figs. 4, 3c)。ふたたびカンナを使って、soundboardの上辺をわずかに後方に傾斜するように削りました。(Figs. 3d, 19d).


 キーを押さえる仕組みについて説明しよう。Kunakaは、手作りの鍛冶の仕事場の熱い石炭へ4つのeyeboltを置きました(そのシャフトの直径は、1/4インチ以下でした。)。ひとつずつ火から、ネジを引き上げて、彼は、ネジ山にダメージを与えないようにペンチでゆるやかにボルトのシャフトを保持して、そしてネジのまるいヘッドを平らにするために、金づちでつぶしました。彼がつぶし終わったときに、eyeboltの引き伸ばされた目は2 1/8インチでした。eyeboltsを差し込む前に、平らにされたeyeboltsが(当たる部分)を一部取り去るためにKunakaはsoundboardにあけた穴のまわりを削りました(Fig. 3a) そして木がジュージューと煙をあげました。というのは、彼が、eyeboltsを再加熱してsoundboardにあけられた穴に押し込んだからです。ボルトが冷めた後に、Kunakaは、soundboardをひっくり返して、そしてネジ山のシャフトにワッシャーをはさみ、六角ナットで止めました。
 次のKunaka 仕事は、ブリッジの適切な位置にてキー(鍵盤)を保つためのクロスバーをつくることです。彼は、鉄棒のサビをヤスリで落とし、( 直径1/4インチ,長さ 8インチ)金槌で端から端まで平らに打ちました。彼は、その時、クロスバーの両端に刻み目をつけて、金床のエッジを利用してやさしくたたいて、軽く刻み目から曲げ、そしてeyeboltsの目にクロスバーを差し込みました(Fig. 5)。

 Kunakaによると、キー(鍵盤)を押える仕組みにeyeboltを使用することは、彼自身のアイデアだったということです。伝統的な方法では、mbira制作者は、soundboardにあけた穴を通し引っ張って結んだ針金を巻いたクロスバーによってブリッジの上にあるキー(鍵盤)を押さえつけました。Kunakaは、彼の方法がより能率的だと考えていました;針金で縛りなおしてチューニングするよりも、ラチェット(ねじ回し)でナットをまわすことによって、特定のキー(鍵盤)を(ブリッジとクロスバーの間を)ゆるめたり、締めたりして簡単にチューニングすることができるからです。

Figure 4
4. 金属製のブリッジは共鳴板のくぼめられた表面に埋め込まれます
Figure 5
5. キーを押さえるためのクロスバー
ムビラのキー(鍵盤)

 昔、ショナ人のムビラ制作者は自然の鉱石を溶解し精錬してムビラの鉄のキー(鍵盤)を創っていましたが、最近のムビラ制作者は、便利な金属の入手先を見つけました。[注3] たとえば、kunakaは、Salisbury のスクラップ屋からキーの原材料を買いました。何年かかけて、異なる材料を実験した結果(5インチから6インチの針金)耐久性においても音質の点についても、建設現場でしばしばよくコンクリートを補強するために使われる鉄棒がよいことがわかりました。力強いmbira演奏家であるKunakaは、宗教儀式で激しい演奏のときに、時々、他の材料で作られているキーを壊しました。もっといえば、彼の楽器のための極めて頑丈なキーを、捨てられた自転車の車軸から鍛造しました。(kunaka以外の人たちのために)普通は、4種類の直径を持つ針金をkunakaは使いました: 

B1-2 1/4インチ (see Fig.6 ); B3-5 , L1-5  7/32インチ; B6-7, L6, R1-3  3/16インチ ; R4-9 5/32インチ 


Figure 6 - 完成したムビラの正面図

キー(鍵盤の寸法) (キーの先端の幅X ブリッジからキーの先端までの長さ 単位はインチ):

B1-7: 3/4 X 4 5/16, 3/4 X 4 3/16, 3/4 X 4 1/16, 21/32 X 3 15/16, 5/8 X 3 13/16, 5/8 X 3 5/8, 1/2 X 3 3/8

L1-6: 11/16 X 3, 19/32 X 2 3/4, 5/8 X 2 5/8, 9/16 X 2 9/16, 9/16 X 2 3/8, 15/32 X 2 1/4

R1-9: 9/16 X 2 11/16, 7/16 X 2 5/8, 13/32 X 2 3/8, 3/8 X 2 1/4, 11/32 X 2 1/8, 11/32 X 2, 5/16 X 1 7/8, 11/32 X 1 1/4
Figure 6

 キーは3つの段階で作られました。 最初の段階では、 Kunaka は自家製の炉でキーを作り出しました。 この最初の作業から作り出されたキーは、最終的な仕上がりにちかい大きさと形でつくりだされてはいるが、(音の)調律には注意が払われていません。 2番目の段階で、 Kunaka は、冷えたままキーの形を整えました。 彼はキーの音をテストするために soundboard にそれぞれのキーを加えて、そしてそれに複雑な調律手順を受けさせました。 すべてのキーの調律がうまくいったとき、すべてのキーをsoundboard から取り除いて、仕上げのヤスリがけをしました。 3番目の段階で、 Kunaka はキーを仕上げ、調律の微調整のために soundboard に取りつけて調節しました。


Stage I

 mbiraのキーをつくる始めに、kunakaは、サビついた針金を、こんがらがったくず鉄の山からとりだし、まっすぐになおしました。それから、自家製の鍛冶場に石炭を補給するため、台所から熱い石炭をもってきました。鍛冶の道具は、とてもうまい構造でした。(廻すための)ハンドルをもつ自転車の車輪は、大きい円筒の缶の内で扇風機の羽根を回転させるためのいくつかの滑車につながっていました。(Fig. 7)金属ホースがその缶からセメント炉のベースを通してつづいてました。 我々を見物していた 一人のmbira プレーヤーが自転車車輪を回転させました。彼は金属ホース中を強力に空気を流して、燃えさしが真っ赤に焼けるまで煽りたてました。 Kunakaは、熱い石炭へ鉄棒の端をセットして、一方の端を一片の木に置きました。鉄棒のチップが赤くなったときに、彼は、火からそれを取り去って、金床で鉄棒を金づちで打ちました。

 Kunaka はいくつかの段階で棒を整形しました。彼は、(指でひく側)開放される端から(ムビラに取りつけられたときにsoundbordに)保持される端に向かって、連打して、最初に1つの側面を平らにした。 それから彼は、バーの形を少しずつ作り直して、ひっくり返した。 最終的に、彼は、ヘラ(spatulate) 形を仮定して、外側に広がるまで、打撃を(指でひく側)開放される端に集中しました。


 上からみると、演奏時に使う端のキーの広がっている部分から後部の部分(ブリッジを越えてムビラに接する側)に向かって(幅が)狭くなっていきます。横からみると、キーは、演奏時に使う端がもっとも薄く、後部に向けてだんだん厚くなります。

Figure 7. Kunaka's Homemade Forge
7. KUNAKAの自家製炉

数分で最初のキーを形づくった後で、 Kunaka は手に持っていた針金からキーを切り離しました。 それから、彼は、キーを金づちで打ってヘラ (のように広がっている部分)の表面をたたいて広がっている部分を均等に伸ばし、後部を四角形に整形しました。金属をよりしなやかにするために、時々、キーを熱い石炭に入れました。mbiraのための22本のキーは、このようにで作られました。この時点では、キーは、ただのでこぼこの薄青黒いヘラでした。

 Kunakaが鍛冶場で働いている間に、多くの若いmbira演奏家が、近くに集まっていました。その中に、マスタープレーヤーから非公式のレッスンを受けることを望んでいたKunaka の甥が、 Kunaka の仕事場の後ろおよそ20フィートのところで練習していました。  Kunaka は、仕事に熱中しているように見えましたが、彼は時折「 Achhh !」と叫んで、甥の間違った演奏を修正するために、道具を横において、甥のところまで指摘しにいきました。 

Stage II

 キーを作ることについての2番目の段階で、Kunaka が未完成のキーをmbiraに取りつけられる配置通りに地面に並べました。そして、金切はさみでヘラの先端を切り取りました。(Fig. 8). ヘラ状の部分がもっと平らであるようにたたいて、そしてさらにその後部をまっすぐにしました。 彼は、それぞれのキーをハンマーで打って、演奏時に使う側を広げ、後部の方に行くにしたがって幅が狭くなるように、(キーを上から見て)三角形に近い形を想定しながら作業をしました。Kunakaは、特定の場所のキーがブリッジを越えたところで同じような上向きの角度になるようわずかにキーを曲げました。これは、楽器の演奏上のテクニックを助ける仕組みです。


 初期のキーの調整の後に、soundboard上でクロスバーとブリッジの間にそれぞれのキーを差し込むことによって、音色、音程がテストしました。 (Fig.9). テストするキーに近いeyeboltsのねじを締め、Kunakaは、キーをはじきました。もし音程が高いと感じたら、その音程を低くするために、キーをはずして、(キーをはじく側である)ヘラ状の部分を平らにしました。音程が低いと感じたなら、soundbordからキーを取り去って、キーの先を切り詰めました。(キーの先端をはさみで切った後は、彼は、音程を上げすぎないように、また切り取った時のバリをならすために常に、ヘラ状の部分をトントン叩きました。)Kunakaは、ブリッジからのキーの長さをかえて音程を調節するよりも、キー製造の第2の段階では、ここで述べられた方法によって、大部分調律をしました。

 チューニングするときに、Kunakaは、倍音よりも主として基本音でチューニングしました。唯一の例外は、mbiraの最も低い音を出すB1キーでした。それは、「2つの声」、基本音そして5倍音もしくは3倍音の倍音を持つようにつくられました。どちらの倍音でも「音楽をきれいに聞こえさせる」力があるのだが、kunakaは第5倍音を好みました。彼は、他のキーが発する倍音と、B1によってチューニングされた倍音を区別しました。(see Figure 10 for the tuning of Kunaka's mbira).[注4]

Figure 8
8. 未完成のキーのヘラ(SPATULATE)状の先端を切る




Figure 9
9. キーを押さえる機構に未完成のB1キーをはさむ。

Figure 10 -  MBIRA DZAVADZIMUの調律表, 正確な周波数は、楽器によって違います。 KUNAKAの調律による周波数をヘルツ単位で表記します。

B1-B7: 113, 147, 155, 175, 194, 212, 269

L1-L6: 234, 353, 313, 392, 431, 473

R1-R9: 291, 469, 525, 583, 628, 693, 778, 860, 910
Figure 10

 Kunaka は、何年もの経験の結果として、  mbira のキーを作ることにおいて専門家になっていました。 キーの要素の正確な組み合わせ(キーの長さ、厚さ、厚さの変化、重量など)を知りつくしていました。取りつけられる位置に対応した音の高さを持つキーを簡単に作りだしました。 私が彼に壊れたキーとmbiraを持って来たときに、彼の技能は、すぐに証明されました。 足りない音を見つけるたキーボードを上下に指を走らせて、Kunaka は音を聞いて、15分の内に、1つの鉄棒から新しいキーを創りだしました。 そのキーは、キーを取り付けるべき位置で完全にフィットして、そして正確な調子を作り出していました。

 第2段階では、Kunakaは、まだ完成していないキーを、(クロスバーを抑えている)eyeboltsによって区切られたセクションごとにsoundboardに取り付けて、調律をしました。(Fig. 11). B1キーから始めて、楽器のセクションIIIにキーを付け加え、下段と上段の隣り合ったキーを交互に左から右に(調律)しました。セクションIIでも同じ方法で続けました。それから、彼は、セクションIVにおいて、R1-5へ左から右へ(調律)しました。 


Figure 11
Figure11

 この時点で、Kunakaは(キーを)抑えている機構のクロスバーの右側の端(を抑えるため)のためにちょうつうがいを作りました。金属の薄い板を小さい長方形に切ります(2 1/2インチ x 3/4インチ)。一方の端に小さな穴をあけ、もう一方に1/4インチの穴をあけました(Fig. 20e)。soundboardの右側面に沿うように、垂直にそれを曲げて、soundboardの背面にちょうつうがいの端を引っ掛けました。これは、KunakaがセクションVにキーを付け加えることを可能にしました。セクションIにキーを付け加えるため、もう一つのちょうつうがいを左側にとりつけ、キーボードは完成しました(Fig 13).
 大部分、上記のような方法で、KunakaはsoundBordに、隣接したキーの装着および調律を進めていきましたが、別の手順で調律を進めることもありました。楽器の左側において、2個の隣接した低音(下段の)鍵盤のキーを調律して、次に、上段の鍵盤をそれら(低音の鍵盤)の間に加えました。また、セクション全体を取り外しそれらを再び取り付けるとき、セクションの外側からキーを加えました(つまり、一組のeyeboltの右隣と左隣から)。Kunakaは、これらの方法は、eyeboltの間で、窮屈に詰め込まれたキーを再配置することを容易にしました。
 調律のプロセス中に、Kunakaは、初期の見込み違いのために生じた小さな問題を修正するのに時間をかけました。例えば、1個のキーを平らにのばしすぎました。正確な音程を出しましたが、それは広すぎて、セクション内の他のキーとぶつかりました。;キーは削られて整えられました。また、一つのキーの後部が、厚くて、セクション中の他のキーの後部の厚さよりも厚く、キーを均等の圧力で抑えるのを邪魔する場合、他のキーの後部の厚さと一致するまで、後部を金槌でつぶします。その他、クロスバーの抑える圧力でブリッジが多少不安定になっていることにkunakaは気が付きました。ブリッジの埋まっている溝に薄い板の切れ端を入れることによって、ブリッジを安定させました。

Figure12
12. ちょうつがいは、クロスバーの左端にとりつけられました。


Figure13
13. 未完成キーの完全なセットは調整されます。また、そのキーがsoundBordに設置されます。

 時々、kunakaは、特定のキーの先をペンチでまげて演奏しやすいようにキーの形を整えました。 (Fig. 14)。キーの間隔を一定にたもつために、鈍いのみで左右に軽く叩いて整えました(Fig. 15)。
 調律に対して多大の苦労と繊細さがmbiraの製作に求められることが、仕事中のジョンKunakaを観察することでとてもよくわかりました。キーをSoundBordに設置して、Kunakaは、あらゆる方法で出来上がったキーのチューニングをテストしました。キーを個々に鳴らし、手本の楽器と関係のなく音程および音質を評価しました。さらに、手本になる楽器と新しいムビラのキーの音程を比較しました。(fig.16)3番めに、左から右、右から左と、キーとキーによって作り出された音程差をチェックして、 同じ鍵盤あるいは隣の鍵盤で隣の(ムビラの)キーの音程を比べました。同様に、手本のmbiraのキーの配列と見比べました。5番めに、soundBord上の1オクターブはなれる関係にあるキーの音程を比較しました。6番目にに、新しい楽器上で対応するキーとキーをオクターブごとに、手本と比べました。
 最後に、楽器を創るいろいろな段階で(たとえばIII、Vのセクションのキーを完全に備えたとき)、Kunakaは、伝統的な音楽をデュエットの中で新しいムビラで演奏する(もう一人の音楽家がKunakaの楽器を演奏して)ことにより、ムビラの全面的なチューニングをテストしました。時々、Kunakaは同時に一人で2つのムビラを弾きました。すばらしいテクニックで、彼の膝の上で基準のムビラの右手部分、新しい楽器を左手部分として演奏し、比較検討しました。そして、楽器を入れ替えて、再び試みました。2つの道具が一つのように聞こえるまで、調律の微調整は行われました。

 ムビラを作る過程全体にわたって、Kunakaは、チューニングをテストするためにいくつかの方法を組み合わせました。あるキーの音程が不満だったならば、soundBordからキーをはずし、修正を加えました。時には、6回もキーのチューニングをチェックしました。Kunaka が手本のモデルと照合するよりも、自分の感覚で、正しい音程にmbira を調律したことは、10年間のムビラ作りの上にたった彼の専門的知識の証明です。段階 IIでは、Kunakaは111チューニング・チェックをしました。

 Kunakaの満足のいくようキーが取り付けられ調律されたあと、 金属の定規と鋭い刃物で、soundBordからはみ出るキーの後部に印をつけました。それぞれのキーをはずして、その印から切断しました。(soundBordからキーの後部がはみ出ないように)キーのヘラ状部分の形を、金きりはさみで、作り直しました。すべてのキーを取り外した後で、彼は、抑える機構を適当な場所にあるように保つために、ブリッジとクロスバーの間に完成していない予備のキーをはさみました。

Figure 14
14. キーの端を調整して指のあたる部分を直線にする。


Figure 15
15. キーの間隔が十分になるように調整する。


Figure 16
16. 新しいMBIRAの調律を手本のMBIRAとくらべる。
Stage III

 Kunakaは、万力にキーをはさみ、最初に焼き付けた青みがかったつやを取り除くため、キー全体にヤスリをかけました。表の面と両脇を丹念に磨きました。そして、ヘラ状の部分の先端を丸くしました。完成したキーは、わずかに曇った銀色に光っていました。

 次に、Kunakaは、キーの形を作り直す工程にはいります。(Fig. 17). 彼は、ヤスリをかけながら、キーの後部の先をきれいにしました。いくつかのキーは、キーの後部を四角形に近づけたり、ヘラ状の部分がブリッジから上向きにそるようにキーを打って曲げました。(Fig. 18).さらに、キーをわずかに曲げて、かつ、それに少しの「s」字形を与えるために、金床の端から1インチキーの後部をはみ出させて、キーの後部を優しく打ちました。後部の屈曲は、キーを押さえる機構とクロスバーの働きを強めました。

19. SIDE VIEW OF FINISHED MBIRA
Figure 19
Figure 17
17. キーの形を作り直す。

Figure 18
18. ヘラ上の部分と、キーの後部をまげて、キーを仕上げる。

 完成したキーをSoundBordに設置するために、Kunakaは楽器にB1キーを取り付け、中心からムビラの左側に向けて、下段と上段のキーを交互に取り付けていきました。その後、彼はR1からR9の順番にキーを取り付けました。取り付けたキーが上向きにソリ過ぎないように先のなまったノミやハンマーでヘラ状の部分を押し下げ、均等にキーが並ぶように調整しました。キーとキーがぶつかって干渉しあうときには、1/16インチから1/4インチ離すために、左右にわずかにキーの位置を変えました。

 最終段階では、Kunakaは、手本のムビラを使って、以前よりも速く楽器の調律をしました。音程が高すぎたとき、soundBordから取り外して鍛造するのではなく、クロスバーとブリッジの間に新しいキーをはさんだ状態で、キーの後部を軽く打ってキーをブリッジの前方にずらすことによって、楽器の音程を合わせました。音程が低すぎた場合は、Kunakaは、この方法をとりませんでした。この事例では、音程を上げるために、キーを取り外してキーの先を切り詰めました。手本の比較に加えて、Kunakaは、キー製造の II段階の間に使われたいろいろな方法によってmbiraをチューニングしました。


 あるとき、彼は、低音キーのうちの1つを特に熱心にはじいていました。彼は私に、「バネみたいになってるだろ、火のおかげさ」(最初の鍛造処理のこと)と得意げに説明していました。Kunakaは最終調節を行うとともに、SoundBord上でeyeboltを締めてもゆるいキーについて、キーの後部を特別に屈曲させキーを安定させました。Kunakaが彼のチューニング・チェックを終了し、最後にeyeboltを締めて、新しいムビラと手本のムビラとでデュエットするために甥に電話し呼び寄せました。数分演奏した後に、全面的なチューニングをチェックして、彼はキーの調律が終わったと宣言しました。

The Buzzing Mechanism and Finger Hole

 Kunakaは、ムビラの音の不可欠な部分である、ブンブン音を立てる効力を生むための指穴およびメカニズムを加えることにより、ムビラを完成させました。貝殻が伝統的にこの機能を果たしていましたが、最近では、王冠が便利な代用品になりました。長方形の1片の幅がおよそ2インチのブリキを切断し、4つの王冠が板の真中に並ぶよう穴をあけました。王冠は、細い針金で板に取り付けられました。また、それはsoundBordに釘づけにされました。(fig 20.)

Figure 20
20. 王冠のブンブンいうメカニズムはsoundBordに釘づけにされます

 最後に、Kunakaは、共鳴板のより低い右隅の指穴に穴を空けるために3/4インチのドリルを使用しました。また、小さなナイフで、荒くなった穴のまわりをきれいに慣らしました。その後、楽器の表てから穴に右の小指を挿入して、膝の上のムビラを安定させて、王冠が自由に振動し十分に音が大きくなるように、ブリキ板に王冠を針金で止めて、数秒間演奏しました。その後、大きなヒョウタン共鳴装置(ひょうたんの殻を半分に切ったもの)の内部でムビラを支えて、演奏をしつづけ、楽器が、満足いく仕上がりであることを示しました。[注5] Kunakaの技術および経験を駆使して1日間の集中した作業で、すべてのキーを作ってmbira を完成させることができました。

 Kunaka の生涯の間に創った楽器は何世代に渡ってジンバブエのShona族の人々の最も神聖な式典において演奏され続けるでしょう。人々と先祖の中に、もっとも優れた楽器製作者であり、mbira プレーヤーであり教師でるという、Maridzambira John Kunakaの芸術性に対するふさわしい賛辞および証言が後世まで語り継がれることは間違いありません。

Notes